浮き玉放浪記2
漂流編

浮き玉クレイジーになる

すっかり浮き玉モードになってしまった私。どうすれば大きな浮き玉が手に入るのか?頭の中はそればかりです。そういう目で見てみると、 意外と町に浮き玉があることに気づきました。 大きな浮き玉が、飲食店にディスプレーされていたり、民家の庭にひっそり置かれていたり。
オホーツク海沿岸はホタテやカニなどの養殖が盛んです。かつて養殖用の網につけられて活躍したのでしょう。網走、湧別、紋別など海に近い町ではよく見かけます。 網走のラーメン屋さんで直径50センチ近い大物を見たとき、思わず「こういうのは今もうないんでしょうか?」と訊いていました。 店の人は「以前はよくあったけど、最近はめったに見かけないね」続けて「古物屋で売ってるのは見るけど、高いからねぇ」。そうか、売ってるのか!

増え続ける浮き玉

一方ではなんとか拾えないものかと、暇さえあればビーチコーミングに出かける日々。
その甲斐あって小さい浮き玉はいまや一室を占領するほどに増えてい きました。
でも大きいのは落ちていません。恩人であるバギーおじさんをちょっぴり恨んだり…。
ある時、カキ養殖で有名な厚岸(あっけし)にカキを食べに行きました。すると、ここは大きな浮き玉が町のあちこちの家にぶらさがっているではありませ んか。でも、ひとつくださいという勇気などはなく、指をくわえたまま町を後にしたのです。(カキは美味しかったですが‥)

人は私を浮き玉クレイジーと呼ぶ…かも コレクションの一部です 玄関に鎮座 5000円ナリ

ついに購入!

冬が来ると海は流氷に閉ざされ浜へは行けません。浮き玉に想いを残したまま年を越えました。
ある日、大好きな弟子屈(てしかが)へドライブしました。摩周湖と屈斜路湖を擁する道内屈指の景勝地。ここの道の駅は面白くて、西洋骨董や雑貨の店が並んでいます。 ここの一番奥の古道具屋を何気に見ると、店の前に浮き玉が吊るしてありました。もーたまらん!買っちゃう!
6500円というのを5000円に値切ってついに買ってしまいました。直径は30センチくらいです。
店の人いわく「今じゃめったに手に入らない貴重品ですよ、う ちは安いですよ」。
嬉しさと同時に複雑な気持ち。高いお金を出して買うんじゃ、まるでコレクターみたい。

浮き玉王国 小樽

やがて春。コンサートを見るため一泊で小樽へ出かけました。
小樽は道内ガラス工芸の発祥地だそうです。北一ガラスという代表的なガラスメーカーがあり、ここのショップにはすべての大きさの浮き玉が展示してありました。
昔は浮き玉や船で使うランプなど、漁業に必要なガラス製品を作っていた北一ガラス。いまも浮き玉キャンドルランプを販売しています。これは浮き玉に穴が あいていて、中にキャンドルを入れて使うもの。毎年小樽運河で浮き玉キャンドルを浮かべるイベントもあるとか。 現在はガラス工芸が観光の目玉になっている小樽ですが、その大元は浮き玉だったんですね。
なるほど!一気に浮き玉に関する知識が入ってきました。でも、お土産はお土産。
ちゃんと使用されていた本物の浮き玉はないのかな?

そう思いながら歩くと、明らかに年数を経た浮き玉がたくさん並んだお土産屋さんを発見!
かなり大きいのもあります。値段を聞くと「一個3万円」えっサンマンエン!?
話を聞くと、このお店は昔は魚網屋さんだったのです。お店に並んだ浮き玉は 当時使っていた本物で、ここのおばあさんが一個一個自分で縄をかけたのだそうです。あるとき雑誌の取材で、昔の浮き玉を置いていることが雑誌に載りました。 すると、全国から「浮き玉が欲しい!」という注文が舞い込んだそうです。遠い人では沖縄から注文があったとか。それにしても、 一個3万円はあまりにも高くないでしょうか?骨董屋でさえ5000円だったのに。

お土産浮き玉 お宝が店先に ガラスショップのウィンドー こんなところにも