浮き玉放浪記
旅立ち編

ガラスの浮き玉が大好きです。
海と同じ色をしたガラスの玉は
オブジェとしての完璧な美しさを
持っていると思うのです。
オホーツクの浜で拾ったときから
私の浮き玉探しの放浪が始まりました。

浮き玉との出会い

北海道にきたてのころ、オホーツクの海岸を歩いていて、打ち上げられたガラスの浮き玉を拾いました。 浜辺に打ち上げられたゴミの中に光って見えた 薄青色のガラスの玉は、キラキラしてとてもきれいに見えました。テニスボールより少し大きいくらいの浮き玉でした。

浮き玉ってなに?

魚網につけるなどして使用したガラス製の浮きのことです。以前は日本中の漁村などでよく見られました。現在はプラスチック製のものに取って代わり、ガラス製 の浮きは作られていません。
当時はラムネ瓶、薬瓶などを溶かしてガラスを再利用していたため、色はグリーンから青まで幅があります。珍しいものでは黒や茶色も。 かつては日本中で作られていましたが、現在では小樽の浅原硝子一軒を残すのみとなりました。ここでも現在作られているのはお土産用だけ。また中国、韓国産もありま す。大きさはテニスボールくらいから、ひとかかえあるものまであります。ガラス職人が吹いた浮き玉は魚網屋でひとつひとつ網をかけて使われました。
いまこの網掛けの技術そのものがなくなろうとしています。

夢中で拾う拾う!

私が最初に見つけたのはサロマ湖近くの海岸です。多分ホタテ養殖に使われていたのでしょう。
「まだあるはず」と確信し、ある日袋やザックなどを持ってビーチコー ミングに出かけました。すると、本当にまだたくさん落ちていたのです。砂に埋もれたり、ゴミにからまっていたりして。強い風にさらされて、砂で表面がざらざらになった ものが大半でした。大きさは直径5センチ~20センチくらいまで、色も形もばらつきがあります。
砂浜で浮き玉を見つけるのはとても楽しい時間でした。慣れてくると大きな流木の陰などに見つかります。この日の収穫は100個近くもありました。しかしその重いこ と!駐車場までの数キロをとてももって帰れる重さではなかったのです。

バギー車にひろわれる…

途方にくれる私を神は見捨てませんでした。そこに通りかかった一台のバギー車が、私と100個(推定)の浮き玉を拾ってくれたのです。バギー車に乗っていたのは養殖ホタ テの見回りに来たおじさん。バギーはすごい年代物で、乗って大丈夫かなぁと思いましたが、私の心配をよそに浜辺を疾走してくれました。すごい爽快感!めったにできない楽し い経験でした。
しかし、それだけではなかったのです。バギー車のかごには、私が拾ったのより何倍も大きな浮き玉が!「(岬の)先端で拾ったっサー」と北海道弁で いうおじさん。なんですと!?
このことが、私をさらに「もっと大きな浮き玉が欲しい!」という欲望に駆り立てたのでした。