浮き玉放浪記3
漂着編

灯台下暗し

すでにひとつ大きいのを買ったのだから満足すればいいのですが、小樽でさらに大きな玉があることを知ってしまったので、これを手にしないことにはおさまりませ ん。
それにしても、買うとずいぶん高い浮き玉。値段はほとんど”お宝”の領域です。もともと拾ったのがはじまりですから、高いお金で買い集めるのはなんだか 抵抗があります。購入するのはほとんどあきらめていたとき、地元北見の古道具屋さんの店先に大きな浮き玉が出ているのを目ざとく見つけました。前に買っ たのよりふたまわりは大きいです。値段だけ聞こうとお店に入ってみました。
ご店主に恐る恐る尋ねると「一個1500円でいいよ。」マジですか??「友達に 漁師がいてたくさん持ってるから、缶ビール代くらいで喜んで売ってくれるんさ」。なんてことでしょう 、地元のお店が最も安く、もっとも入手しやすかったのです。思えば、内陸の北見にははじめからないだろうと決め付けていた節がありました、反省‥。もちろん特 大の浮き玉はその日にお持ち帰りとなりました。
(同じお店で青い薬瓶も購入しました。有頂天だったもんですから…)

浮き玉とわたし

思えば、私自身が浮き玉みたいなもの。
放浪癖&自閉気質でいまだに社会生活になじめず、いつしか北海道へとやってきました。こんなに浮き玉に惹かれたのも、どこか自分と重ね合わせていたのかもしれません。 荒涼とした浜でぽつんと光る浮き玉を見ていると、淋しさと同時に安堵感を覚えたりします。自分もまだ漂流の途中かもしれないけど、 ひとときの浜辺となった北海道で光ってみたい、そんなことを考えたりしています。(まとめすぎ?)

その後、また安い浮き玉が出ているときに買い足し、自分としては満足がいきました。はじめのころの「あれば全部欲しい!」という熱狂は今は落ち着いています。
でも浮き玉への愛着は、きっとずっと変わらないと思います。